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MX 外国人戦略のためのWEB多言語化 上森 久之

多言語化と聞くと、なんとなく言葉としての意味はわかるが実際何をすることかと言われるとどうでしょうか

「多言語に対応すること」といった答えが出てくるかもしれません。じゃあこの多言語に対応することっていうのはどういう意味なのでしょうか。

翻訳することは確かに多言語化において必要なことですが、本書ではより深掘りされた視点で多言語化というものがなんなのかについてまとまっていました。

自分自身もWebサイトをつくっていた過去があるので多言語に対応させたいといった意見はもらったことがあるのですが手間やコストが合わずに断ったこともあります。このWovnという会社は多言語化というのをたった1行サイトに入れるだけでできてしまうというとんでもないサービスを作っている会社ですが、その取締役の一人がこれからのグローバル社会において必要になってくる本当の意味での多言語化について説明しているのがこの本です。

目次

MX 外国人戦略のためのWEB多言語化の要約

多言語化には大きく分けて翻訳と、ローカリゼーション(+国際化)の二つが必要になってきます。

翻訳は文章を直接訳すことで、ローカリゼーションは翻訳したことばを現地の人たちが自然にわかる形に訳すことです。言語がちがえば、存在しない言葉や、翻訳の過程で伝えきれない部分が出てきてしまうのですが、それを現地の人たちでもわかるようにして多言語化ができていると言えます。

昔は翻訳は手動で対応していましたがコンテンツが増え続ける今、自動翻訳(Google翻訳やDeepL)などが瞬時に翻訳をしてくれるようになりました。ただそれだけでは完璧ではないため自動+手動をバランス良く混ぜる手法が現在とられています。グローバル化が進む社会において多言語化は必要から必須に変わりつつあり、日本企業のほとんどが対応しなければいけないのが多言語化となります。

印象に残った箇所

・インターネットで使われる日本語の割合は約3%、それ以外の外国語は97%と言われている

また日本の資本市場がどれほどグローバル化されたかは、東証一部市場への売買額のうち60-70%が海外の機関投資家からであることからも明らかである。

・Webにおいては複数の言語に変えるとすればスピード、量で対処できる技術は今まではなかったが、現状一番効果があるとされているのが「MTPE(Multi Translation Post Editing)」である

・今の翻訳会社などで起きている問題は二つある。1つ目は「多重発注、多重コスト問題」、そしてもう一つは「ブランディングぐちゃぐちゃ問題」である

・外国人戦略を考えるうえで意識すべきは3つある。

①「インバウンド対応」

②在留外国人対応

③グローバル対応

・複数の海外子会社を有する会社だとイントラネットの多言語かの重要性が高いと考えられます。イントラネットとは企業内限定のプライベートなポータルサイトで企業から従業員への企業内ノウハウを共有したりできる。J-SOX(内部統制)上も重要な役割を果たす

・多言語化をする目安は売上成長率が毎年1%以上ある会社、総売上に対する外国人比率が1%以上ある企業

・日本は越境ECの成長余地が4倍ある。世界のECの進化を見てみると中国、アメリカが人気があるが日本はまだまだネットで物を売買する文化が根付いていない。だがポテンシャルは高い。

・現状越境ECを利用する消費者の多くはアリババのような「モール型」のECを利用しています。全体の70%近くをモール型が占領している

・日本の企業は外国人が彼らの会社の商品を買いたがっているという視点が抜けているため多言語化に踏み切れてないケースが多い。それの対策としてお金をかけずにできることは訪日外国人客に向けて自社商品の魅力をブランディングすることです。これをすれば結果的に外国人にリーチできる

日本は商品力は高いがマーケティング力がひくかった

・今までの翻訳の構造としては

大企業メーカー –> 大手代理店 –> 中小代理店 –> 翻訳会社–> 翻訳者(個人事業主)

・日本が世界でも戦えるものでいうと「事業運営のマニュアル」がある。

この分野は世界に誇れるビジネス戦略上の武器になり得る。セブンイレブン、QBハウス、りらくる、一蘭、キーエンス、ヤクルトなど世界展開でも上手く働くマニュアル作りは日本は得意です。反対に苦手なこととしてはブランド戦略(マーケティング)になります。

・翻訳の歴史は

手動–> 自動 –> ニューラルネットワーク –> ブラックボックス化してしまうため改善 –> MTPE –> ローカル翻訳

の形を辿っている。

多言語化とは、ただ翻訳をすることではなく「その国の文化を翻訳する」ことになる。それは国際化+地域化の二つがある。

国際化:言語ごとにいちいち開発・翻訳するのが面倒なので共通プラットフォーム化しよう

例)日付の表示規格、金額の単位、文字の向きなど

地域化:ただの翻訳ではなく現地の風土や文化に合わせて翻訳すること

昔はサーバーなどを自前で準備する オンプレミスが主流だったが今はクラウドサービスが主流になっている

まとめ

自分自身がサイトを作っていたこともあり多言語化についてのペインを知っていたことと、海外経験もあったからこそ翻訳の難しさを肌身で知っていたこともありこの本に書いてある多言語化についての複雑さがとても強く伝わってきました。

テクノロジーで解決できそうでなかなかできていない領域だからこそ、早く技術が進歩して世界中の人と問題なく情報交換ができる時代がきて欲しいと思いました。日本の素晴らしさをもっと多くの人にしってもらうことと、世界の情報を日本人もアクセスできる世界がくるのが楽しみになりました。

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